マウスのナイーブT細胞からIL-4/IL-13を発現するヘルパーT細胞タイプ2および、これらを発現しないヘルパーT細胞タイプ1に誘導する系を用いて、2種類のヘルパーT細胞におけるIL-4/IL-13遺伝子領域の複製起点の同定を、新生鎖DNAの量を定量する競合的PCR法を用いて行った結果、両細胞でIL-13遺伝子付近に複製起点活性が検出された。また、従来の新生鎖DNAの精製方法を改良し、この領域についてより詳細なマッピングを行ったところ、複製起点候補領域がIL-13遺伝子の第4エクソン内に存在することが明らかになった。未分化ES細胞についても同様の競合的PCRを行ったところ、ヘルパーT細胞と同じIL-13遺伝子領域に複製起点活性がみられた。以上の結果は、細胞の分化段階や遺伝子発現の状態に関係なく、このIL-13遺伝子領域に存在している複製起点は活性化している事を示唆している。 また、ゲノムDNA全体に対する複製起点マッピングの方法として、DNA micro arrayによる解析は非常に有用だと考えちれるが、そのためにはDNA micro arrayに対するhybridizationのプローブとして使用可能な新生鎖DNAの精製方法の確立が必要だった。これまでの結果から、硫化セシウム密度勾配遠心法とショ糖濃度勾配遠心法の2種類の超遠心法を用いて精製した新生鎖DNAは、ゲノム全体に対する複製起点探索のためのDNA micro array hybridizationに用いるプローブとして充分に使用可能な品質であると考えている。今後は、得られた新生鎖DNAを偏り無く増幅することによって量的にも充分なものを確保するための方法を開発する予定である。
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