平成16年度は、平成15年度末に採集した約600個体の遺伝子解析用サンプルのうち、約200サンプルから遺伝子精製キットをもちいて、DNAの抽出を行い、さらには、その一部のDNAサンプルについて遺伝子解析を行った。また、昨年度に引き続き、新しい解析サンプルの採集も行った。 カスミサンショウウオのミトコンドリア遺伝子のD-loop領域の塩基配列を解読し、各カスミサンショウウオ集団の遺伝的系統関係や遺伝的多様性を評価する為に、PCR法によってD-loop領域を特異的に増幅させるプライマーの設計を試みた。D-loopを挟むミトコンドリア遺伝子の領域に何セットかのプライマーを設計し、そのなかでも増幅効率がよく、かつ非特異的な増幅が少ないプライマーを選んだ。さらに、塩基配列解読時のエラーや間違いが極力少なくなるように、D-loop領域の内部にも何種類かのプライマーを設計し、同様に増幅効率が良く、非特異性の少ないもの選んだ。これらのプライマーを用いて、約10固体のカスミサンショウウオの塩基配列を解析した結果、D-loop領域の何ヶ所かに、集団間あるいは固体間で差のある部位があることが明らかになった。 新しい集団からの遺伝子解析資料の採集については、平成15年度に採集した集団から距離的に離れた、あるいは地理的な分断がある集団からの採集をこころがけ、平成16年末から年度末にかけて、約10集団から、100サンプル前後の幼生および成体の尾の先頭の採集を行った。
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