研究概要 |
藍色細菌の概日時計に制御されたゲノムワイドな発現制御機構の解明の道筋をつけるため、多数の遺伝子のプロモーター活性を系統的に解析する手法の開発及びその活用を本研究の目的としている。まず、藍色細菌では時計遺伝子KaiCが発現制御に広範囲に関与することを示した(発表論文,PNAS 2004)。発光波長の異なるルシフェラーゼレポーター遺伝子を藍色細菌に導入することにより、生きた細胞で同時に2つのプロモーター活性測定に成功した(発表論文、PCP2004)。この系と広範囲な発現系をあわせることで将来的な応用が見込まれる。今年度は、ゲノムに散在する4つの領域を選び、それぞれの領域で連続する7個の予想ORF(計28個)の上流域0.6-1 kbpを<プロモーター領域>とみなし、Gatewayテクノロジーを使って、発光バクテリアルシフェラーゼをレポーターとするコンストラクトを作った。それらのコンストラクトを元の遺伝子座、およびゲノムの決められた2つの座(外来遺伝子をそこに挿入しても表現型を示さない)に挿入した藍色細菌株を作製した。それらの細菌株の生物発光を通常条件下で連続測定した結果、発現コンストラクトのゲノム上の挿入位置効果はほとんどなかった。また、生物発光したすべてのコンストラクトでほぼ同位相の概日リズムを示した。発光量には100倍以上の差が見られた。これらの結果から、ゲノムワイドなプロモーター解析においても、今回行った方法を適用することが可能であると考えられた。今後は、様々な刺激応答性や多量の株の管理システム等を検討していく必要がある。
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