高等植物のみに存在する新規のA型DNAポリメラーゼ2種類(PolI-like AとPolI-like B)の機能解明することを目的とし研究を進めた。本年度においてはGFP融合蛋白質の一過性発現による細胞局在の解析と、DNAに損傷を与えた時の発現応答の解析を中心に研究を進めた。 まず、シロイヌナズナの2種類のA型DNAポリメラーゼ、AtPolI-like AとAtPolI-like Bの翻訳領域の全長とN末端の部分をそれぞれGFPのN末もしくはC末に融合させるコンストラクトを作成した。ベクターはCaMV35S-sGFP(S65T)-nos3'を用いた。コンストラクトをパーティクルガンを用いてタマネギの表皮細胞またはタバコの培養細胞BY-2に導入した。12時間生地することで融合蛋白質を一過性発現させ、蛍光顕微鏡で観察した。その結果AtPolI-like Aは葉緑体に、AtPolI-like Bは葉緑体及びミトコンドリアに局在している可能性が示唆された。 次に両遺伝子とDNA修復の関連性を明らかにするために、DNAに傷害を与える紫外線、メタンスルホン酸メチル、過酸化水素水処理により両遺伝子の発現が誘導されるかどうかRT-PCRにより調査した。その結果、AtPolI-like Aの発現が過酸化水素水処理で処理により誘導されることが分かった。今後両遺伝子の解析を進めて行くことで、葉緑体DNA複製・修復におけるA型DNAポリメラーゼの機能が明らかになることが期待される。
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