研究概要 |
白色光下で育てたレタス芽生えでは、生育用液体培地のpHを6から4に低下させると、それまで根の表皮細胞において細胞長軸に垂直であった微小管配列のランダム化が起き、根毛形成が誘導される。この、レタス芽生えの低pHによる根毛形成の機構を探るため、平成15年度は、以下の点に関して研究を行った。 (1)微小管配列のランダム化部位とエチレン合成部位は一致するか。 エチレン合成部位を明らかにするために、エチレン合成の律速段階として知られるACC合成酵素の遺伝子(Ls-ACSL, Ls-ACS2;既に単離済み)に注目し、in situハイブリダイゼーションによるmRNAの局在解析を試みた。通常、in situハイブリダイゼーションはサンプルを固定後、パラフィンに包埋し、切片を作製してこれに対してハイブリダイズさせる方法がとられる。しかしレタスの根では、固定や包埋などにおいて様々な条件で実験を行っても細胞質が部分的に消失してしまい、確信の持てる解析像を得ることができなかった。そこで、現在パラフィン包埋や切片作製を行わないホールマウントin situハイブリダイゼーション法に変え、再度解析中である。 (2)暗所・pH4でACC・IAAを添加した場合、白色光照射時と同様、微小管配列のランダム化と根毛形成が誘導されるか。 暗黒下で育てたレタス芽生えでは、培地のpHを4に低下させても根毛形成も微小管配列ランダム化も起きない。しかし、エチレン前駆体のACCやオーキシンであるIAAを培地に添加すると、根毛形成も微小管配列ランダム化も誘導されるようになった。しかし詳細に調べると、微小管配列ランダム化は白色光下でACCやIAAを添加したときとほぼ同じ経時変化を示したが、根毛原基形成は数時間遅れることがわかった。
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