本研究は、高等植物の葉器官サイズの制御機構を明らかにすることを目的としている。平成15年度は、葉の器官サイズに異常を示すシロイヌナズナ突然変異株を多数収集し、その解剖学的解析を行った。その結果、変異株における葉器官サイズの小型化には多様な要因があることが分かった。葉の小型化の最も単純な要因として、細胞数のみの減少あるいは細胞サイズのみの減少が挙げられる。しかし、葉の小型化の最も一般的は、細胞数と細胞サイズがともに減少する場合であった。稀な例として、細胞数が減少する一方で細胞サイズが増加する、いわゆる補償作用を生じる場合や、逆に、細胞数が増加しつつ細胞サイズの減少が同時に起きる場合もあった。一方、葉が大型化する突然変異株は非常に稀で、その場合、細胞数の増加あるいは細胞サイズが増加することが大型化の原因であった。これらの突然変異株は、現在160系統ほど得られており、バッククロスおよび、map-based cloningのための変異遺伝子座のマッピングを順次進めている。 一方、map-based cloningにより原因遺伝子を特定する事は、これらの突然変異株の数の多さから時間がかかることが予想される。これを解決するため、T-DNA tagging法を用い、葉のサイズ異常を示す突然変異株を収集している(現在約60系統)。
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