研究概要 |
本年度は課題名に記した遺伝子(SCI2)解析のために必要な,培養細胞における生理学的解析を完成させると同時に,タンパク質の生化学的な解析のための試料作成を行った.以下に個々の内容を記す. (1)これまで本分化誘導系において,オーキシンとサイトカイニンの役割が重要であることを明らかにしてきたが,近年オーキシン様の効果も有する植物ホルモンとして研究の進んでいるブラシノライドのデンプン貯蔵細胞における効果について検証した.その結果,ブラシノライドはデンプン貯蔵細胞分化に対し抑制効果(オーキシン様の効果)を有することが明らかになるとともに,細胞増殖に関してオーキシンとは異なる効果を有することを明らかにした.この結果は,これまで本実験系の課題であったデンプン貯蔵細胞分化と細胞増殖という2つの因子を分割できる可能性を示すものとして今後の解析に重要であると考えられ、その成果をJournal of Experimental Botany誌に報告した.また前述の成果も踏まえオーキシンとサイトカイニンによる分化誘導形の確立についてJournal of Applied Glycoscience誌に報告した. (2)16年度以降に行う予定であるSCI2タンパク質の生化学的解析の準備としてSCI2タンパク質の精製を試みた.手法として大腸菌における強制発現ベクターpQE30に当該遺伝子のcDNAを組み込み、6つのヒスチジン残基で標識された融合タンパク質の強制発現,及びニッケルカラムを用いた精製に成功した.SC12特異的抗体作成のため精製タンパク質の一部を用い,ウサギに免疫を行った.また,認識配列同定に用いるSELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法の基質作成のためにオリゴヌクレオチドプールの作成を行った。
|