研究課題
ヒメツリガネゴケを用いて葉緑体分裂に関与している細菌由来のペプチドグリカン合成系遺伝子(Mur genes)について解析を進めている。今年度cDNAを単離しなおした3つの遺伝子を含め現在機能的と予測される9種の遺伝子を見いだしてる。ヒメツリガネゴケ(Pp)MurE遺伝子の遺伝子破壊ラインでは葉緑体分裂が阻害され、巨大葉緑体が出現した。GFP融合タンパク質を用いた一過的発現解析により、PpMurEタンパク質が葉緑体に局在することを確認した。また、タイムラプス顕微鏡観察により、細胞分裂時に巨大葉緑体がくびり切られる場合があることが明らかとなった。また、シロイヌナズナに存在するMurE遺伝子中にT-DNAタグが挿入した植物体を用いた解析は、この遺伝子の機能が阻害されると葉緑体への分化が異常になり、葉が薄黄色になることを示した。この薄緑ラインの葉緑体では、通常ストロマ中に分散して存在する色素体DNAが大きな塊のまま存在し続けることを見いだした。ペニシリン結合タンパク質をコードしているPbp遺伝子はヒメツリガネゴケには存在するが、シロイヌナズナには存在しない。PpPbp遺伝子破壊ラインの取得を行ったところ葉緑体の巨大化が生じることが明らかとなった。葉緑体の分裂に関与する新規の遺伝子を同定する為に、ヒメツリガネゴケのタグラインを用いた細胞内葉緑体数の変異ラインの取得を行い、原因遺伝子の単離を進めた。トータル8800タグラインの細胞の葉緑体を顕微鏡により観察し、細胞内の葉緑体数が増加しているラインを7ライン、減少しているラインを13ライン取得した。現在、これらの原因遺伝子の単離を進めているが、未だ同定には至っていない。
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Cytologia (in press)
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