研究概要 |
コケタンポポ(Solenogyne mikadoi)およびSolenogyne bellioidesの2種-について,植物形態に対する植物ホルモン(ジベレリン,ブラシノステロイド)およびその生合成阻害剤(それぞれウニコナゾール-P,ブラシナゾール220)の影響を観察した。その結果、コケタンポポとS.bellioidesのどちらの場合でも、子葉よりも本葉の方が植物ホルモン関連の薬剤の影響がより顕著であった。コケタンポポにおいては、ブラシノステロイド(ブラシノライド)とブラシナゾール220よりも、ジベレリン(GA_3)とウニコナゾールーPによる影響の方が明確に出ていた。S.bellioidesにおいては、ウニコナゾールーPで処理した場合に、コケタンポポの時とは違い、本葉の長さ、幅ともに、GA_3よりもブラシノライドの方が影響が大きく、コントロールに比べ、長さを長く、幅を太くした。逆にブラシナゾール220によっては、長さは短く、幅は細くなった。 次に,コケタンポポとS.bellioidesの切片の、葉の成長軸と直交する軸の、最も幅広な部分の切断面の細胞面積、切断面全体の細胞数を、NIH Imageを使って計測した。その結果、GA_3処理により細胞断面積が大きくなったことがわかった。S.bellioidesの子葉において、断面の平均の細胞面積は、GA_3で処理しても変化は見られなかったが、Un-Pで処理すると面積は小さくなった。細胞数はGA_3で処理すると倍近くに増えたが、Un-Pでは変化はなかった。本葉において、GA_3での処理は細胞面積を増大させ、細胞数も増やした。Un-Pでの処理は、GA_3処理での変化よりも細胞面積、細胞数ともに、さらに増大させた。 これらの結果から、ジベレリン内生量の低下がコケタンポポの矮性形質の一因であることが示唆された。
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