CCA付加酵素は核酸の鋳型を用いることなく、定まった配列CCAを定まったプライマーへ一時期に付加する注目すべき鋳型非依存性RNA合成酵素である。このCCA付加酵素の特異性の分子機構を明らかにするため、"CCA付加酵素によるtRNAの3'末端へのCCAの付加"の動画作製を申請者は開始した。 平成15年度には、古細菌(A.flugidus)のCCA付加酵素単独、およびCTPあるいはATPとの協結晶のx線構造解析を行い、その構造を高分解能で決定した。その結果、古細菌のCCA付加酵素は真正細菌のCCA付加酵素とは異なった全体構造をとることが明らかになった。しかしながら、活性触媒残基を含むドメインのトポロジーは両者で似通っていた。また、CTPあるいはATPとの複合体の構造解析から、真正細菌の酵素と同様、CTPもATPも同一の活性ポケットを用いて確認されていることが明らかになった。しかしながら、詳細なヌクレオチドの認識機構は異なっていた。、さらに、tRNAとの複合体モデルから、真正細菌と古細菌のCCA付加酵素のtRNA認識機構も異なっていることが示唆された。したがって、古細菌、真正細菌のCCA付加酵素はヌクレオチジルトランスフェラーゼの共通の祖先から派生したが、古細菌、真正細菌へと分岐した後に、それぞれの酵素はそれぞれ独立した進化のプロセスを経たと考えられる。
|