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2005 年度 実績報告書

癌細胞表層に存在するMMP-7機能変換分子の同定とその癌転移促進機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15770070
研究機関横浜市立大学

研究代表者

東 昌市  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)

キーワードマトリライシン / MMP-7 / 細胞凝集 / コレステロール硫酸 / 酸性脂質 / 癌転移 / β-シクロデキストリン
研究概要

これまでに、大腸癌細胞をマトリライシン(MMP-7,MAT)で処理すると、その転移能が著しく上昇することが明らかになっている。また、in vitroではMAT処理により大腸癌細胞の細胞凝集が促進されるが、その凝集が転移能上昇に相関する。一方、種々の癌細胞をMAT処理するとMATが癌細胞表層の特殊ドメインであるラフト・カベオラに結合することから、MATはこの特殊ドメイン内の分子に結合し、かつ、近傍の膜表在性のタンパク質を切断しつつ、細胞凝集を引き起こすことが予想される。昨年度の研究からMAT結合分子の活性はメタノール・クロロホルム混合液で抽出可能であることが判明し、脂質成分であることが示唆された。そこで、癌細胞から抽出した総脂質を陰イオン交換樹脂で分画したところ、吸着画分にのみMAT結合活性が存在することが判明し、この画分に含まれる硫酸化ガラクトシルセラミド、硫酸化ラクトシルセラミド、硫酸化コレステロールおよびカルジオリピンなどの酸性脂質がMAT結合分子の候補として挙げられた。しかしながら、これらの脂質をリボソームに取り込ませた後、MAT結合活性を調べた結果、いずれの脂質もMATと結合したことから、これらの候補を一つに絞り込むことが困難であった。今回、β-シクロデキストリン(β-CD)で癌細胞を処理するとMATの細胞表層への結合が阻害されるとともに、MATが誘導する細胞凝集が顕著に抑制されることを見出した。また、このβ-CDの効果は細胞へのコレステロールの再供給では回復せず、コレステロール硫酸を再供給した場合のみ回復した。β-CDは細胞膜からコレステロールやコレステロール硫酸を抽出するのに対し、硫酸化ガラクトシルセラミドや硫酸化ラクトシルセラミド、カルジオリピンは抽出しないことから、癌細胞表層の主要なMAT結合分子がコレステロール硫酸であることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Identification of Membrane-bound Serine Proteinase Matriptase as Processing Enzyme of Insulin-like Growth Factor Binding Protein-related Protein-1 (IGFBP-rP1/angiomodulin/ mac25).2006

    • 著者名/発表者名
      Sanjida Ahmed
    • 雑誌名

      FEBS Journal 273

      ページ: 615-627

  • [雑誌論文] Binding of Active Matrilysin to Cell Surface Cholesterol Sulfate Is Essential for Its Membrane-associated Proteolytic Action and Induction of Homotypic Cell Adhesion.2006

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 281

      ページ: 9170-9180

  • [雑誌論文] Production of Soluble Matriptase by Human Cancer Cell Lines and Cell Surface Activation of Its Zymogen by Trypsin.2005

    • 著者名/発表者名
      Xinlian Jin
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Biochemistry 95

      ページ: 632-647

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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