1 X-線結晶構造解析 平成17年度は、以下の2点を計画した。 (1)BsLysRSの反応中間体リジルアデニレート及びそのアナログとの複合体。 (2)(1)にピロリン酸アナログを加えたもの。 現在までに、(1)については、リジンスルファモイルアデニレートとの高解像度の結果が得られた。一方、(2)については、高解像度の結果は得られていない。しかし、L-リジンアミドとATPの三者複合体について高解像度の結果が得られた。これらの結果から、大腸菌LysRSで観測されていない構造変化を観察でき、BsLysRSの反応機構に関して新規な情報が得られた。 2 ピロリン酸アナログ及びヒドロキサメートの阻害機構の解析 平成17年度は、以下の2点を計画した。 (1)BsLysRSに加えて、Bacillus stearothermophilusのTrpRS(BsTrpRS)、大腸菌由来のTyrRSとTrpRS(EcTyrRSとEcTrpRS)、ヒト由来LysRS(hLysRS)におけるピロリン酸アナログの阻害を、ATP-PPi交換反応を用い反応条件を変化させて調べる。 (2)ヒドロキサメートの阻害を、ATP-PPi交換反応を用い反応条件を変化させて調べる。 (1)では、アナログ種とpHを変化させることにより、各酵素を選択的に阻害できることが明らかになった。(2)では、これら酵素が、特徴的な阻害をヒドロキサメートにより受けることが明らかになった。これらの結果から、各酵素の微細な活性部位での環境の差により阻害機構が大きく異なる可能性が示唆された。
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