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2003 年度 実績報告書

蛋白質工学的手法による脳神経シグナル伝達系の解明とその人工制御

研究課題

研究課題/領域番号 15770085
研究機関京都大学

研究代表者

若杉 桂輔  京都大学, 工学研究科, 助手 (20322167)

キーワードシグナル伝達 / センサー蛋白質 / 虚血・再灌流 / 脳 / 神経細胞死 / G蛋白質 / 酸化ストレス / 蛋白質工学
研究概要

最近、脳神経細胞に特異的に発現し、可逆的な酸素結合が可能な蛋白質「ニューログロビン(Ngb)」が報告された。このNgbには、脳虚血、再潅流などの酸化ストレスに伴う神経細胞死を抑制する働きがあると指摘されている。今回、我々はこのNgbが脳神経系においてシグナル伝達系を制御する分子として機能しているという仮説を立て、Ngbが関与する脳神経シグナル伝達系を明らかにすることを目指した。Ngbは、二つの大きく異なる構造をとりうる。一つは、通常の酸素正常状態の構造であり、この状態では、ヘム鉄は2価であり、酸素などの配位子が結合できる。もう一つの構造は、虚血・再潅流時などの酸化ストレス下で生成する構造であり、ヘム鉄は3価に酸化され、蛋白質由来のヒスチジンが直接ヘム鉄に配位することにより、酸素正常状態の構造と比べ大きな構造変化を生じる。本研究では、この酸化ストレス下での大きな構造変化に着目し、Ngbに結合する蛋白質の解析を行った結果、酸化ストレス下で生成する鉄3価Ngbが細胞内シグナル伝達蛋白質であるGαと特異的に結合すること、他方、通常の酸素正常状態の鉄2価NgbはGαとは相互作用しないことを発見した。さらに、Ngbは酸化ストレス応答性のセンサー蛋白質として働き、酸化ストレスを受けた時のみGαと結合し、GαのGDP/GTP交換反応抑制蛋白質GDIとして機能することにより、神経細胞死を抑制し、さらに、神経再生を促進していることを明らかにした。さらに、脳神経シグナル伝達系におけるNgbの役割を検討するために、ヒトNgbをbaitとし、Yeast two hybrid systemを用いて、Ngbと相互作用する相手分子をhuman brain cDNA libraryから探索した結果、Gα以外の他のNgb結合蛋白質を特定することにも成功した。現在、Ngbと脳内蛋白質との複合体形成、制御メカニズムを分子レベルで明らかにするために、Ngbに関しモジュール置換した種々のキメラ蛋白質を作製し、それらの構造及び機能解析を行っている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Wakasugi, K. et al.: "Dxidized human neuroglobin acts as a heterotrimeric Gα protein guanine nucleotide dissociation inhibitor"The Journal of Biological Chemistry. 278. 36505-36512 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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