研究概要 |
超好熱菌コハク酸:キノン酸化還元酵素複合体(SdhABCD)の大腸菌における機能発現・分子集合機構解明を目的として各種解析を行ない、平成15年度には以下の成果を得た。 1.発現ベクターのスクリーニング・改変を試み、古細菌SdhBサブユニットの大腸菌膜画分への発現に初めて成功した。発現SdhBのEPR解析から、複数の[4Fe-4S]鉄硫黄クラスターの存在を確認できた。本サブユニットのN末端側[2Fe-2S]ドメイン(SdhB-Nドメイン)は、発現ベクターを変えると切断されて可溶性タンパク質断片として得られることから、SdhBサブユニットのC末端側ドメインが大腸菌膜へのアッセンリーに重要と考えられる。 2.すでに発現に成功しているSdhCサブユニットと可溶性SdhB-Nドメインの分光学的解析(CD, EPR, EXAFS)を行ない、原著論文として公表した。また、SdhB-Nドメインの[2Fe-2S]クラスターの酸化還元電位が木きく低下していることと関連し、古細菌Rieske-type ferredoxinの発現と軸配位子の部位特異的変異解析等を行ない、配位子アミノ酸残基の種類が、クラスター酸化還元電位調節に大きく関連していること等を実証した。これらの成果も原著論文として公表した。 3.SdhA, B, C, Dを発現ベクター、各遺伝子の組合わせを変えつつ発現検討したところ、SdhBCD複合体として膜画分に発現が認められた。次年度はEPR等の分光学的手法を用いて、この複合体中の鉄硫黄クラスターの種類と同定をすすめる予定である。 4.大腸菌で発現させたSdhAはSdhBCDとアッセンブリーせず、SdhABCD複合体としての機能発現には残念ながらこれまで成功していない。大腸菌で発現させたSdhAはフラビンの共有結合化が起らず、現在その理由を調べるために結晶化をすすめている。
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