1.Clathrin非依存的エンドサイトーシスの解析 本年度の研究により細胞間接着分子のひとつであるN-カドヘリンがArf6によりその細胞内局在が制御される分子である事を明らかにした。すなわちNIH3T3細胞にArf6の活性型変異体であるArf6Q67Lを強制発現させたところArf6により形成される小胞上にN-カドヘリンが局在する事を見いだした。またイヌ上皮細胞であるMDCK細胞を用いてN-カドヘリンの動態について解析したところ、N-カドヘリンの強制発現によりE-カドヘリンの細胞内への取り込みが促進される事、細胞の形態が上皮細胞様から繊維芽細胞様に変化する事、さらにE-カドヘリンとN-カドヘリンが事なる輸送経路、すなわちE-カドヘリンがリサイクリング経路、N-カドヘリンがリソソームへの分解経路で細胞内輸送される事を示す興味深い結果を得た。またこれらのN-カドヘリン発現による表現形はArf6の不活性型変異体であるArf6T27Nにより阻害される事から、N-カドヘリンがArf6の活性化を引き起こす分子である事が示唆された。 2.Clathrin非依存的エンドサイトーシスを制御する分子の同定 上記の研究成果により、我々はMDCK細胞がClathrin非依存的エンドサイトーシスを制御する分子の同定に有用であると判断し、この細胞を用いてArf6の野生型、活性型および不活性型の安定導入株を樹立した。またN-カドヘリンを発現させる新たな系としてアデノウイルスベクターを作成した。今後Arf6の安定導入株にN-カドヘリンを発現させ、pull-down法によりArf6と結合する分子を同定する予定である。
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