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2003 年度 実績報告書

哺乳類成体脳内の細胞移動制御におけるSlit蛋白質の機能と作用機構

研究課題

研究課題/領域番号 15770143
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

澤本 和延  慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90282350)

キーワード神経幹細胞 / 細胞移動 / 嗅球 / Slit / 脳室下層 / 脈絡叢 / 脳脊髄液 / マウス
研究概要

成体マウス脳の脳室下層において生まれる細胞は、rostral migratory stream (RMS)とよばれる特殊な経路を通って前方の嗅球へ移動し、介在ニューロンに分化する。本年度は、Slit蛋白質の機能を明らかにすることを目的として以下の実験を行った。
(1)Slitノックアウトマウスの表現型の解析
申請者は既にSlit1とSlit2の両方を欠損するノックアウトマウスの新生仔の嗅球は野生型のものと比べ小さいことを見出していた。この異常の原因を明らかにするため、ノックアウトマウスの脳室下層と嗅球の中心部を通る矢状断切片を作成し、クレシルバイオレット染色によって形態を観察したところ、嗅球の大きさが異なる点の他は構造的異常を検出することができなかった。さらに移動中の細胞を可視化することを目的として、上記の切片を抗PSA-NCAM抗体、および抗doublecortin抗体で染色を行ったが、これらの蛋白質はRMSに特異的に発現しているわけではないため、染色結果から機能を明らかにするのに有用な情報を得ることができなかった。
(2)脳室内へ投与されたSlit2-アルカリ性フォスファターゼ融合蛋白質(Slit2-AP)の局在の解析
Slit2-APを発現する293T細胞の培養上清を濃縮しミニポンプを用いて脳室内に24時間投与した。脳を固定し、切片およびホールマウント標本を作製して染色を行ったところ、Slit2蛋白質は上衣細胞表面のみならず移動するニューロブラストが存在する脳室下層にも到達し、前後軸に沿った濃度勾配を形成した。従って、脳脊髄液中に分泌されるSlit2は、脳室下層を移動するニューロブラストに作用して方向の決定に関与する可能性が高いと考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tetsumori Yamashima: "Vascular adventitia generates neuronal progenitors in monkey hippocampus after ischemia"Hippocampus. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Akinori Tokunaga: "Mapping spatio-temporal activation of Notch signaling during neurogenesis and gliogenesis in the developing mouse brain"Journal of Neurochemistry. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] 安達一英: "神経幹細胞の治療への応用"実験医学. 21. 2440-2445 (2003)

  • [文献書誌] 山下徹: "精神科領域の用語解説「神経幹細胞」"分子精神医学. 3. 342-344 (2003)

  • [文献書誌] 澤本和延: "予防医学辞典"朝倉書店(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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