研究概要 |
1)STAT3による細胞自立的運動制御を担う標的遺伝子の同定 STAT3ノックダウン胚と正常胚を用いてサブトラクション法により、STAT3による細胞自律的運動制御を担う標的遺伝子を同定し、その細胞運動制御機構を明らかとした(論文投稿中)。この遺伝子は癌の浸潤との関連が示唆されていた機能未知の蛋白をコードしており、ゼブラフィッシュ原腸陥入のみならず、癌浸潤、創傷治癒にも適応可能な分子メカニズムであるか検討中である。また本遺伝子産物によるシグナル伝達の詳細を解析中である。 2)STAT3シグナルによるWnt/PCP経路活性化メカニズムの解明 我々はSTAT3による細胞非自律的運動制御機構が、Wnt/PCP経路を介した平面内細胞極性の制御によることを、FRET法を用いたRho活性化の時空間的解析から明らかとした(論文投稿中)。さらに現在Wnt/PCP経路のリガンド同定のために、STAT3の標的遺伝子をスクリーニング中である。 3)gp130/JAKs経路によるSTAT3シグナルおよびGABsシグナルを介した細胞運動の統括的制御機構 我々はこれまでに、gp130,Jak1,Jak2によりSTAT3が活性化されその標的遺伝子により細胞運動が制御されていることを明らかとしているが、これと同時にgp130/JAKs経路により活性化されるGABs/MAPKの標的遺伝子がSnailであり、その活性はSTAT3標的遺伝子により制御されていることを明らかとしている(論文投稿準備中)。また、GABs/MAPKシグナルの下流にはRhoを介した細胞骨格制御シグナルも存在する予備的結果を得ており、FRETを用いて現在解析中である。
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