研究概要 |
1)STAT3による細胞自立的運動制御を担う標的遺伝子の同定:STAT3による細胞自立的運動制御を担う標的遺伝子LIV1を同定し、さらにLIV1が上皮-間葉転換(EMT)制御因子であることを明らかとした(Nature,2004)。またZnトランスポーターLIV1がEMTのマスターレギュレーターであるZnフィンガー転写因子Snailの細胞内局在とその活性を制御することも明らかとした。これはZnトランスポーターによるZn要求性因子の活性調節を解明した最初の報告であり、Znを細胞内セカンドメッセンジャーとする新たな細胞内情報伝達系の存在を示唆するものである。 2)STAT3による細胞非自律的運動制御機構の解明:STAT3シグナルが細胞非自律的にWnt/PCP経路を活性化し、平面内細胞極性を制御していることを明らかとした(JCB,2004)。Wnt/PCP経路のリガンドがSTAT3シグナルの下流に存在することが強く示唆された。 3)gp130/JAKs経路によるSTAT3シグナルおよびGABsシグナルを介したEMTの統括的制御機構:gp130/JAKs/GABsシグナルがSTAT3シグナルとは異なるメカニズムでEMTを制御すること、すなわちgp130/JAKs経路によるEMTの統括的制御機構の全貌を明らかとした。 4)STAT3の活性を調節する結合因子の同定:STAT3の活性を調節する結合因子を同定し、STAT3の核移行の分子機構を明らかとした。
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