研究概要 |
本課題は、酵母の転写活性化因子GAL4とそのシス配列UASをもちいたアクティベーションタギング法を開発して,これをモデル植物であるシロイヌナズナに応用し、根のパターン形成に関与する未知の遺伝子群を同定・解析することを目的としている。3年間の研究期間において、まず方法論の開発を終えることができた。さらに実際に約15,000のタギングラインを作製し、根の形態形成に異常を示す変異体を多数単離した。これらのうち根の組織パターン形成に異常を示す優性変異体(URP=UAS-tagged Root Patterning変異体)を8ライン同定し、これらの原因遺伝子を決定したところ、いずれもこれまでに報告されていない新規な遺伝子であった。また8個の遺伝子のうち7個は,コードするタンパク質のアミノ酸配列から転写因子をコードしていると思われた。これらの遺伝子のプロモーター領域とレポーター遺伝子を融合したコンストラクトを作製し、発現組織を調べたところ、これまでに解析できた6個の遺伝子について,根での組織特異的な発現が見られた。これらの結果はこのアクティベーションタギング系が,根のパターン形成に関与する未知の遺伝子を効率的に同定できることを示しており,本研究の当初の目的がほぼ達せられたと考えられる。各遺伝子の機能については,根の様々な組織で特異的に発現させるラインの解析や,T-DNA挿入変異体の表現型を解析することで,今後詳細に解析する必要がある。
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