研究概要 |
カイメン、ホヤ、ヒト・マウスの精巣のII型カルシフォシンは全て208アミノ酸残基から成ると見積もられ、互いにアミノ酸レベルで60%もの相同性を示す事から、広く後生動物全体に存在し,何らかの根元的な機能を司っているのではないかと考えられる。縮重プライマーを用いたRT-PCRによる他生物門(刺胞・軟体動物など)からのII型カルシフォシンの単離を試みているが,発現量が低いためか成功には至っていない。現在はcDNAライブラリーのスクリーニングに戦略を切り替えて探索を遂行中である。余談ではあるが最近のEST解析データベースを検索した結果,両生類での発現も確認できた。 一方,II型カルシフォシンの機能を探る第一歩として,これと相互作用するタンパク質の同定を試みている。マウスHisタグ付きII型カルシフォシンの大腸菌発現系を構築,オーバーレイによる相互作用タンパク質の同定を計画した。しかしながら発現量は良好なものの全て不溶性分画に移行してしまい、精製には8M尿素による還元可溶化を要した。また、透析にて尿素を除くと再び不溶化沈殿する為、尿素濃度は2Mまでにしか落とせず,オーバーレイには用いる事が出来なかった。抗原としては利用できた為,抗II型カルシフォシン抗体の作成には成功しており,これは以降の解析に威力を発揮するものと期待される。また,GST結合タンパク質との融合タンパク質とすると,発現量は低いものの安定して可溶性分画での発現が見られる事が分かった為,今後はこれを用いてアッセイを進める事を考えている。また大腸菌系Two-hybrid systemも導入しており,これを用いた相互作用タンパク質の単離も並行して進めている。
|