(目的)高齢者の生活リズムは対象者が生活する地域の外環境に大きく影響を受ける。そこで、本研究では気象条件の異なる北陸地方と関東地方の在宅高齢者の生活リズム(特に睡眠状況)について検討したのでここに報告する。 (方法)北陸地方の在宅高齢者12名(男性6名、女性6名、平均年齢78.3±1.9歳)と関東地方の在宅高齢者14名(男性6名、女性8名、平均年齢73.8±1.3歳)を対象に、季節ごとにアクチグラフを1週間装着しその睡眠状況について比較検討した。睡眠状況の指標としては睡眠時間、睡眠効率、入眠潜時、睡眠中の中途覚醒回数とし、各地域の季節差(両地域で雪など一番環境条件が異なると考える冬期を基準)、各季節の地域差について検討した。統計的有意の検定(p<0.05)は季節差については対応あるt検定、地域差についてはt検定を用いた。 (結果・考察)北陸地方の在宅高齢者で有意な差が得られた項目は、冬季と春季の睡眠効率、冬季と秋季の睡眠効率であった。関東地方の在宅高齢者では冬季と春季の中途覚醒回数と冬季と夏季の睡眠時間であった。一般的に冬季と夏季は外気温の変化からその他の季節に比べ睡眠環境が大きく影響を受ける事が知られており、このことが今回の結果に影響を及ぼしたと考える。地域による比較では、北陸地方と関東地方の在宅高齢者で有意な差が得られた項目は夏の睡眠効率であった。気象条件の異なる冬に地域差が得られず、夏季にのみ有意な差が得られたことから、今後は対象者の睡眠環境が季節ごとに実際にどのように変化していたのかなどとあわせた検討が必要である。 (まとめ)在宅高齢者の睡眠状況に季節差、地域差があることが明らかになった。
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