研究概要 |
本年度は,(1)S19領域のゲノムシーケンスの比較,(2)ゲノムDNAによる相補性検定,(3)S19の候補遺伝子の発現解析,(4)花粉の微細構造の観察を計画した. (1)では農林水産省イネゲノム研究チームに依頼し,Phase0レベルのO.glaberrima由来BACクローンの塩基配列を得た.予想通り日本晴と比較して配列の大きく異なる部分を見いだした.今後も解析を進め,該当領域のO.glaberrimaの配列を明らかにする必要がある. (2)では,ジャポニカイネ由来の候補遺伝子であるセリンスレオニンカイネースを日本晴由来BACから切り出して,O.glaberrima由来のS19をホモにもつ台中65号背景の近似同質遺伝子系統(NIL)に導入したが,稔性の低下は観察されなかった. (3)では(2)で対象としたセリンスレオニンカイネース遺伝子の発現を出穂前の穂で確認した.(2),(3)ともその他の候補遺伝子について解析を続ける必要がある. (4)ではS19ヘテロの不稔NILの花粉の形態を正常な台中65号のそれと比較した.その結果,異常花粉も花粉の核分裂までは正常に行われるが,その後の花粉の成熟過程で遅延がおこり,異常となることが明らかとなった.
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