本年度は、北方型フリント種自殖系統とデント種自殖系統を交配した後代F_<2:3>集団を用いて開花期関連形質のQTL解析を行った。 Mi29xTo85のF_2世代150個体の連鎖地図は全長1287cM、平均遺伝距離12.4cM、マーカー間の最大遺伝距離26.5cMとQTL解析を行うのに十分な精度であった。マーカーの分離比についてx検定を行った結果、理論値と1%水準で有意に異なる分離比を示したマーカーは0.9%(1/114)と、分離比の歪みはほとんどみられなかった。 両親、F_1系統およびF_3世代150系統についての絹糸抽出期および雄穂開花期のGDDはいずれも正規分布に従っていた。両親間の絹糸抽出期および雄穂開花期のGDDの差はそれぞれ184℃および193℃であった。 開花期関連形質のQTL解析を行った結果、絹糸抽出期および雄穂開花期でQTLがそれぞれ8および6個みつかった。このうち4個は位置および優性効果と相加効果の比が両形質でほぼ同じであり、これらは両形質に影響するQTLと考えられた。また、遺伝子とQTLの関係は、第1染色体のAn1とD8の間に絹糸抽出期のQTLがみつかり、第8染色体のepcの連鎖マーカーであるbnlg1067(epcとの遺伝距離0.4cM)の近傍に絹糸抽出期および雄穂開花期のQTLがみつかった。また、絹糸抽出期および雄穂開花期のほとんどのQTLは稈長および着雌穂高のQTLと一致しなかった。
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