研究概要 |
本年度はバラ科果樹に汎用性のあるSSRマーカーの開発およびセイヨウナシにおける連鎖地図作製を目的として,ニホンナシとセイヨウナシのSSR濃縮ライブラリーの作製とSSRマーカーの開発をを行った.ニホンナシ'新高'およびセイヨウナシ'Comice'のゲノムDNAを材料として作製した濃縮ゲノムライブラリーからニホンナシでは20プライマー対,セイヨウナシでは19プライマー対を設計できた.これら合計39プライマー対を用いてSSR遺伝子座の解析を行った.その結果,ニホンナシでは2プライマーがセイヨウナシでは3プライマーがそれぞれマルチローカスだと推定されたが,これら以外の34プライマーでは全てシングルローカスであり,遺伝子解析に利用可能であると判断された.さらにナシ属全般におけるこれらの遺伝子座の存在を調査したところニホンナシ,セイヨウナシおよびチュウゴクナシにおいてPCR増幅が確認された.また,属の異なるリンゴにおいても29プライマー対において増幅可能であった.これらのことから,本研究で開発したニホンナシおよびセイヨウナシのSSRプライマー対は,バラ科ナシ亜科の他属種においても高頻度で転用が可能であることが示唆された.さらに,これらのSSRマーカーを用いてニホンナシおよひセイヨウナシの連鎖地図上へのマッピングを試みたところ現時点で約30%のマーカーがそれぞれの地図上にマップされた. 本年度は上記成果の一部を,欧州園芸学会果樹遺伝育種シンポジウムおよび日本育種学会春季大会において報告した.
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