研究概要 |
本研究はアジサイの花房型の制御に関与する遺伝子の単離目的としている.本年度は,Subtractive Hybridization法により額咲き型花房で特異的に発現する遺伝子を探索するとともに,花房型制御遺伝子の機能及び発現時期の解明のために,額咲き型と手まり咲き型の栄養生長の比較を行った. Hydrangea macrophylla品種‘ブルースカイ'(額咲き型)と, ‘ブルースカイ'から芽条変異により発生した手まり咲き変異枝の挿し木株(手鞠咲き型)を供試した.挿し木後40日目の発根率に関しては,花房型間で有意な差は認められなかった.鉢上げ後5ヶ月目の葉数についても大きな違いは認められなかった.しかし節間長に関しては,額咲き型が手まり咲き型に比べて有意に大きかった.一方,手まり咲き型は額咲き型に比べて,地際部からの側枝の発生が多い傾向が認められた. 昨年度に引き続きSubtractive Hybridizationを行った.昨年度行った方法に関して,サブトラクト後のPCR増幅のためのアダプター配列について改良を行った.またハイブリダイゼーション温度について,マーカーを用いて特異性が最も高い適温を探索した結果,昨年度より5℃高い65℃に設定した.サブトラク卜処理により得られた処理液をPCRで増幅し増幅産物をクローニングしたところ,1000-1500bpの長さの5個のクローンが単離された.これらの塩基配列を解析したところ,これらのうち4個は機能不明の未知の遺伝子であり,残り1個はcalreticulin遺伝子と相同性が高かった.今後,これらのクローンについてノーザン解析を行っていくとともに,さらにいくつかの発達ステージの花芽を用いてSubtractive Hybridizationを行い,花房型に特異的な遺伝子の探索を行っていく必要がある.
|