研究概要 |
実験1 管理法の異なる光合成専用枝群落の葉面積指数の季節的変動と切り花収量 バラアーチング栽培における光合成専用枝として折り曲げる枝の強弱,更新や折り曲げのサイクル,収穫方法(基部ならびに切り上げ収穫)を変えて光合成専用枝群落を管理し,画像解析による葉面積指数の推移と切り花収量を調査した.これらの結果をもとに折り曲げや季節的な気象変動に伴う光合成専用枝群落の葉面積指数の変化と生産性との関係について基礎的な知見を得ることができた. 実験2 光合成専用枝の機能評価 光合成専用枝を2〜3本として群落を形成させ,光合成専用枝群落の上層枝あるいは下層枝のいずれかを切除し,切除した光合成専用枝と同等の葉面積を持つダミー枝へ置き換えること(光合成機能と蓄積養分の再転流機能の除去)や,これらの枝を存置した上での遮光処理(光合成機能のみの除去)が生産性に及ぼす影響を観測し,枝ごとの機能を評価した.その結果,上層枝は光合成機能を,下層枝は蓄積養分の再転流が主たる機能であることが明らかとなった. 実験3 光合成専用枝・収穫枝の純同化率・呼吸速度の計測 収穫枝が出芽から開花までの様々な段階にある植物群落を準備し,これを大型の光合成・呼吸測定用チャンバー(本研究費で購入予定)に入れて環境制御装置内に置く.光強度や温度環境を変えて光合成群落全体の純同化率と呼吸速度を計測(現有の赤外線二酸化炭素分析装置を使用)した後,収穫枝を切除する,あるいは光合成専用枝の一部をダミー枝に置き換える,などの操作を行って同様の測定を行い,各層の光合成専用枝ならびに収穫枝の純同化率と呼吸速度を明らかにした.層別光合成機能は上層枝が占める割合が著しく高く,PPFDが500μmol/m^2/sec程度で光飽和した.一方,下層枝では光量が著しく大きくなっても飽和点に達しなかった.
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