研究課題
1.パピラと非宿主抵抗性ウリ類炭疽病菌などの非宿主炭疽病菌を接種したシロイヌナズナにおいては、菌側の付着器形成に対してカロースを含むパピラ形成が高い割合で観察された。一方で、宿主菌接種においては、非宿主菌の接種時ほどパピラ形成率は高くなく、宿主菌がパピラ形成を抑制していることが推定された。サイトカラシン処理により、パピラ形成は低下し同時に非宿主菌の部分的侵入が観察された。この結果より、パピラが炭疽病菌に対する非宿主抵抗性に関与していることが示唆された。また、オオムギうどんこ病菌に対する非宿主抵抗性に欠損があるシロイヌナズナpen1変異体が、非宿主炭疽病菌接種によるパピラ誘導に遅延を示すこと、また非宿主炭疽病菌に対する抵抗性は維持されていることを明らかにした。2.カロース合成酵素遺伝子と非宿主抵抗性シロイヌナズナのPMR4/GSL5遺伝子は、パピラに含まれるカロース合成に必要であることが近年報告されている。ウリ類炭そ病菌をpmr4変異体に接種した場合、野生型Col-0とは異なり、明確な病班形成が観察された。しかし、この病班形成には侵入菌糸進展は伴っていなかった。したがって、pmr4変異体においては抵抗性を伴う植物側の細胞死がおきていることが推定された。また、この現象はサリチル酸のシグナル経路依存的であることを明らかにした。3.Virus-Induced Gene Silencing (VIGS)を用いた非宿主抵抗性因子のスクリーニングベンサミアーナタバコに対して異なる罹病性あるいは抵抗性の度合いを示す複数の炭そ病菌を同定した。VIGSを用いてランダムに遺伝子をノックダウンしたベンサミアーナタバコに、病原性レベルの異なる炭そ病菌を接種し評価することにより、非宿主抵抗性に関与する遺伝子をスクリーニングする系を確立した。スクリーニングの結果、幾つかの候補遺伝子を得た。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Molecular Plant-Microbe Interactions 17・12
ページ: 1355-1365
Journal of General Plant Pathology 70
ページ: 390
Molecular Microbiology 53・6
ページ: 1785-1796