変態期にリモデリングを行うTv neuronを材料に、それが脱皮ホルモンシグナルによっていかに支配されているか検証するために、Tv neuron特異的にEcRのアイソフォームを過剰発現させて、軸索および樹状突起の縮退および再成長に与える影響を観察した。さらにTv neuron特異的に脱皮ホルモンシグナルを遮断するため、EcRのリガンド結合領域に変異の入ったドミナント・ネガティブ体を発現させた。これらの結果から、1)軸索および樹状突起の縮退はリガンド非依存的にBアイソフォームによって引き起こされる。Aアイソフォームの寄与は認められなかった。2)軸索および樹状突起の再成長にはリガンド依存的なEcR分子の機能が必要であった。また軸索のgrowth coneのリモデリングにはリガンド結合能そのものが必要であった。Aアイソフォームの過剰発現は再成長を遅延させた。 エクジステロイドを修飾して不活化する酵素EGT(Ecdysteroid UDP-Glucose Transferase)をTv neuron特異的に発現させて、脱皮ホルモンシグナルを全てシャットダウンすることをUAS-EGT系統を作製して試みたが、分泌型では明らかにホルモンタイター低下によるシステミックな影響が見られるのに対し、細胞内局在型を使った細胞特異的発現ではTv neuronのみならず、engrailedやtubulinドライバーを用いた場合も、顕著な表現型を得ることが出来なかった。
|