水田土壌に生息する新規古細菌に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15780044
• 研究機関: 弘前大学
• 研究代表者: 殿内 暁夫 弘前大学, 農学生命科学部, 助手 (50302021)
• キーワード: 水田土壌 / 古細菌

研究概要

新規古細菌の分離源として弘前大学農学生命科学部附属生物共生教育研究センター金木農場の湛水水田土壌を用いた。採取土壌に種々の揮発性脂肪酸、水素・炭酸ガス、二級アルコールを添加し、嫌気的に保温した。すべての基質が分解されたのちに、土壌DNAを調製し、古細菌特異的なプライマーを用いて16S rRNA遺伝子を増幅した。さらに、GCクランプを付加したプライマーを用い、16S rRNA遺伝子のV3領域をnested-PCRによって増幅した。この増幅産物をTTGE解析したところ、基質としてプロピオン酸を用いた場合に新規古細菌であると考えられるRiceClusterlの16S rRNA遺伝子が選択的に増幅していることが確認された。この結果は30℃〜15℃の範囲で一致しており、温度による影響は受けなかった。基質として二級アルコールを使用した場合はMethanomicrobiaceae科のメタン生成菌の、また、基質として高分圧の水素・炭酸ガスを用いた場合は既知の水素利用メタン生成菌であるMethanobacterium属のrRNA遺伝子が選択に増幅していた。このことから低水素分圧における水素消費者としてRiceClusterlが働いていると考え、現在、集積培養条件を検討している。

研究成果

• [文献書誌] Miyairi, K., Ogasawara, I., Tonouchi, A., Hosaka, K., Kudou, M., Okuno, T.: "Low-molecular-weight pectate lyase I from Streptomyces thermocarboxydus."J.Appl.Glycosci.. 51. 1-7 (2004)
• [文献書誌] Zou, B-C, Takeda, K., Tonouchi, A., Akada, S., Fujita, T: "Characteristics of an anaerobic syntrophic, butyrate-degrading bacterium in paddy field soil."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67. 2059-2067 (2003)