研究概要 |
これまでにムギネ酸生合成に関わる酵素の遺伝子である,ニコチアナミン合成酵素(NAS),ニコチアナミンアミノ基転移酵素(NAAT),2'-デオキシムギネ酸水酸化酵素(IDS3)遺伝子などを単離してきた。一方,ムギネ酸類の根からの分泌は,オオムギにおいては朝,日の出とともに始まり,約2時間以内に限られ,この分泌は日周性を示すことが明らかとなっている。しかし,この分泌自体を司っている分泌トランスポーターの遺伝子,あるいは分泌の日周性に関与する遺伝子はまったく明らかとされていない。本研究では,このムギネ酸類の分泌トランスポーターの遺伝子を単離することを目的とし,まず,候補の一つとされていたFRD3遺伝子やムギネ酸類トランスポーターとしての機能を測定した.この遺伝子産物はMATE(Multi-drug and toxin efflux)ファミリーに属し,12個の膜貫通ドメインをもつ。この遺伝子がムギネ酸類分泌トランスポーターとしての機能を持つかどうかの検定をアフリカツメガエルの卵母細胞を用いて行った.まず,イネから,この遺伝子のcDNA配列を単離した。これを用いてアフリカツメガエルの卵母細胞でムギネ酸の分泌トランスポーターであるかどうか測定を行ったが,現在までのところ,有力なデータは得られていない.今後,さらに条件を検討していく予定である.ムギネ酸生成酵母を作成し,このコウボにFRD3遺伝子を導入し,ムギネ酸累分泌トランスポーターとしての機能を測定する予定である。さらに鉄欠乏時のマイクロアレイ解析からFRD3遺伝子とは異なるトランスポーター候補の遺伝子を得ている.これらも順次,発現解析,卵母細胞でのトランスポーター活性解析等を行う予定である.
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