研究課題
PEPC(Phoshoenol pyruvate carbosylase)酵素は、トウモロコシなどC4光合成酵素の一つとして知られているが、近年マメ科植物根粒で強い発現をしているという報告がある。マメ科植物ミヤコグサPEPC活性を測定した結果、根粒は葉に比べて約100倍も高いPEPC活性を示した。この値はC4植物トウモロコシ緑葉のPEPC活性に相当する値であった。このことは根粒への炭素供給に重要な役割を果たしていると示唆されるが具体的な報告はない。我々はミヤコグサPEPC遺伝子の発現を調べると同時に35Sプロモーター下流にPpc遺伝子をアンチセンスに結合し、特異的にPEPC酵素の発現を増幅・減少させ、炭素・窒素代謝相互作用に関連する可能性、生育特性、窒素固定活性、形質転換植物の根粒着生等に及ぼす影響、栄養生理的役割を解明することを試みた。その結果、根粒PEPC活性を抑制させたアンチセンスミヤコグサの根粒PEPC活性は、非形質転換体に比べ約80%減少していた。また、PEPC活性が減少していたアンチセンスミヤコグサのPEPC mRNA,タンパク質レベルも非形質転換体に比べ減少していた。アンチセンスミヤコグサ根粒のアヤチレン還元活性は非形質転換体根粒に比べ約50%も減少していた。この植物を窒素フリー培地で生育させると生育が抑制された。根粒の有機酸を測定した結果、根粒内のリンゴ酸が減少し、クエン酸が増加していた。以上の結果、根粒PEPC活性を抑制させると根粒の窒素固定能が減少し、そのためこの植物を窒素フリー培地で生育させると植物内の窒素不足により植物の生育が抑制されたのではないかと推測した。このことから根粒のPEPC酵素は根粒への炭素供給に重要な役割を果たしていると考えられる。また根粒内PEPC酵素の減少によりリンゴ酸が減少したがそれを補うかのようにクエン酸量増加させていることが明らかとなった。
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