1)各ECFσ因子の活性が誘導される条件を詳細に検索した。例えば熱、低温、高塩濃度、酸化剤等の外界ストレスといっても細胞にどのような形の細胞外信号として認識されるのかは不明な点が多い。従ってそれらストレスにより、実際に細胞内外でどのようなことが起こり、それが各ECFσ因子の制御機構にどう集約されていくのか解析した。各ECFσ遺伝子の転写には、栄養増殖期末期から定常期初期において顕著に発現誘導が見られるものがあった。また、この発現誘導はNa^+/H^+antiporter geneの変異により影響を受けた。 また、解析の初発段階として、トランスポゾン変異法等による遺伝学的な手法を用いて、各ECFσ因子の制御機構(アンチσ蛋白質を含んだ機構)を制御する因子を同定、解析を行った。現在、その挿入変異により、ECFσ遺伝子の活性に影響を与える遺伝子を幾つか新たに見つけ、詳細なる解析を行っている。 現在アンチσ蛋白質や関連制御因子に関して、部位特異的変異・欠失変異などの導入、キメラ蛋白質の作製による特異性の変化を観察し機能ドメイン構造等、分子機構を解析する準備を行っている。 2)蛍光蛋白質やエピトープタグをアンチσ蛋白質や関連制御因子に付加し、細胞学的、生化学的にそれらの蛋白質を解析する。具体的には蛍光観察や免疫蛍光法を用いて、蛍光顕微鏡下で細胞内での動態を観察することや、エピトープタグを利用し蛋白質を精製し、細胞分画やin vitro実験等に用いる。また、エピトープ特異的な抗体を用いてウエスタンブロット法により検出可能である。その為の株構築を終了し、現在解析中である。
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