研究概要 |
1.レチノイド受容体選択的アゴニストの抗体産生に対する影響 レチノイドX受容体(RXR)選択的アゴニストMethoprene acidとレチノイン酸受容体(RAR)選択的アゴニストAM-580,TTNPBはすべて単独で抗体産生を増強した。その効果はRXRよりもRAR選択的アゴニストの方が強く、RARの方がリガンド依存性が高いと考えられた。これらの結果はレチノイド受容体がRXR-RARヘテロ二量体として機能しており、その機能発現にはRARの方が重要である可能性を示唆している。 2.RXR-α siRNAの抗体産生増強に対する影響 RXR-α siRNAのハイブリドーマへの導入は9-cis-レチノイン酸による抗体産生増強を抑制した。これらの結果はレチノイドによる抗体産生増強に少なくともRXR-αが関与していることを示唆している。 3.RXR-α遺伝子を導入したハイブリドーマクローンのレチノイド応答性 レチノイド応答しないハイブリドーマにRXR-α遺伝子を導入し、限界希釈して得られたクローン細胞のレチノイド応答性を調べたが、レチノイド応答の回復は見られなかった。これらの結果はRXR-α以外の制御因子の必要性を示唆している。 4.各種MAPK阻害剤の抗体産生増強に対する影響 MEK1/2阻害剤U0126、JNK阻害剤SP600125は抗体産生増強にほとんど影響を与えなかった。p38阻害剤SB202190はIgM産生増強にはほとんど影響を与えなかったが、IgG産生増強を抑制した。これらの結果は産生される抗体のクラスによってレチノイドのシグナル伝達経路が異なっている可能性を示している。 5.プロテアソーム阻害剤の抗体産生増強に対する影響 ライソソーム阻害剤E64は抗体産生増強にほとんど影響を与えなかったが、プロテアソーム阻害剤MG132は抗体産生増強を抑制する傾向にあった。これらの結果は抗体産生増強にプロテアソームが関与している可能性を示している。
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