1.抗RXR-α抗体を用いた免疫沈降によるRXR-α結合タンパク質の解析 RXR-αを発現していないレチノイド非応答性のハイブリドーマHB4C5にRXR-α遺伝子を導入してもレチノイド応答は見られなかったため、抗RXR-α抗体を用いた免疫沈降を行い、RXR-αに結合しているタンパク質の解析を行った。レチノイド応答するハイブリドーマAE6と応答しないハイブリドーマHB4C5の核抽出物を免疫沈降してSDS-PAGE、銀染色を行い、バンドを比較した結果、レチノイド応答するAE6細胞のみに約41kDaと300kDaのバンドが検出された。また、これらのバンドはレチノイン酸処理によって発現が増強された。したがって、これらのバンドに相当するRXR-α結合タンパク質がレチノイド応答に関与している可能性が高いと考えられた。 2.核内調節因子p300の発現の解析 免疫沈降で確認されたAE6細胞に特有なバンドのうち、約300kDaに検出されたバンドを核内調節因子p300であると仮定し、その発現をRT-PCRにより調べた。その結果、AE6細胞だけでなく、HB4C5細胞においてもp300が発現していることが明らかとなった。したがって、p300がレチノイド応答に関与しているとすると、HB4C5細胞ではp300がRXR-αに結合できない、あるいは300kDaを示すタンパク質がp300ではないことが考えられる。 以上のことから、レチノイド応答にはRXR-αだけではなく、約41kDaと300kDaのRXR-α結合タンパク質が必要である可能性が示唆された。今後はこれらのタンパク質の同定を行うとともに、同定したタンパク質の遺伝子をレチノイド応答しない細胞に導入し、レチノイド応答するかどうかを確認する必要がある。
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