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2004 年度 実績報告書

遺伝子工学的手法を用いたグース型リゾチームの触媒機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15780077
研究機関九州東海大学

研究代表者

河村 俊介  九州東海大学, 農学部, 助教授 (10331076)

キーワードリゾチーム / グース型 / 触媒機構 / 活性部位 / 部位特異的変異法 / 溶菌活性 / オリゴマー活性
研究概要

グース型リゾチームはニワトリ形リゾチームと比較して極めて研究が遅れており,その触媒機構や基質結合様式等殆ど明らかでない.グース卵白リゾチーム(GEL)のX線解析からは,Glu73が触媒基であると予測されているが,その証明はなされていない.平成16年度においては,ダチョウ卵白由来グース型リゾチーム(OEL)のGlu73をGln, Asp, Alaに置換した変異体(E73Q,E73D,E73A)の酵素学的性質を調べた.各変異体の溶菌活性を測定した結果,E73QとE73Aは活性を完全に消失し,E73Dでは約9%にまで活性が低下した.この活性測定の結果は,N-アセチルグルコサミンの5量体と6量体を用いて活性測定を行った結果とも一致し,またE73Dの反応タイムコースの反応生成物の量は野生型酵素と同じであった.これらの変異体の基質結合力やCDスペクトルには変化が無いことから,グース型リゾチームのGlu73はプロトンドナーとして働く触媒基であることが証明できた.興味深いことに,Alaに置換した変異体E73Aは,酵母での発現量が極端に低下し,変性剤であるグアニジン塩酸に対する熱力学的安定性が大きく低下したグース型リゾチームの立体構造から,分子内部に位置する3つのヘリックス(H5,H7,H8)がコアー構造を形成し,タンパク質の構造維持に寄与していることが予測されている.触媒基Glu73はH5に位置し,その側鎖のカルボキシル基はH8に位置し種間で完全に保存されているTyr169の側鎖の水酸基と水素結合を形成している.したがって,グース型リゾチームのGlu73は,触媒基としての働きだけでなく,タンパク質の安定性やフォールディングにも重要な働きを有することが明らかとなった.この結果は,Tyr169をAlaに置換した変異体の発現量や安定性が大きく低下することからも証明された.さらに本年度では,ダース型リゾチームで完全に保存されている2つのS-S結合の役割についても検討した.Cys残基をSerに置換した変異体を作製し,活性および安定性を調べた.その結果,グース型リゾチームの活性や基質結合力には変化が無かったものの,安定性が大きくした.したがって,2つのS-S結合は,構グース型リゾチームの安定性および構造維持に重要であることが明らかとなった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Bare-faced curassow lysozyme carrying amino acid substitutions at subsites E and F shows a change in activity against chitooligosaccharide caused by a local conformational change.2004

    • 著者名/発表者名
      Araki T., Seki S., Hirakawa H., Chijiwa Y., Kawamura S., Kuhara S., Torikata T.
    • 雑誌名

      J.Biochem. 136

      ページ: 485-493

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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