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2003 年度 実績報告書

Cyathane骨格を持つ天然有機化合物の合成と生物有機化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15780084
研究機関信州大学

研究代表者

真壁 秀文  信州大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90313840)

キーワード不斉合成 / カルボニレーション / 炎症抑制
研究概要

(目的)Cyathane骨格を持つ天然有機化合物長野県に生息するきのこのケロウジ(Sarcodon scabrosus)やかびの一種であるCyathus earliなどに含まれ、抗菌、炎症抑制、神経細胞生長促進活性などの興味深い生理活性を示す。特にSarcodon scabrosusからは40種類近い化合物が見出されており、信州大学の柴田・廣田らはSarcodoninと命名した。この化合物群の中にはマウス耳の炎症抑制活性がID_<50>=44nmと非常に低濃度で活性を示す化合物も含まれている。また、マウスの経口投与により毒性が低いこともわかっている。この担子菌は松の木の下にのみ生息するため、培養が困難であり自然からの供給が限られている。従って、効率的な合成経路の確立と絶対構造の決定、新規な生物活性の探索が急がれる。本研究ではSarcodoninの全合成をPd触媒によるカルボニレーション反応を用いて行うことを目的とした。
(方法と結果)Ethyl 2-oxocyclopentanecarboxylateを出発物質としてホモアリルヨージドと種々の塩基を用いてアルキル化を行った。条件検討の結果、KHを塩基として用いると55%程度の収率で目的化合物を得られた。ホモアリレーションの実用的な方法はいまだに報告例が少なくさらなる条件を行っている。続いてエステルの還元を行いアルコールとし、ケトンのα位にイソプロピル基を導入した。次に1級水酸基を保護したあとにケトンをビニルトリフラートに変換後、トリスクロヘキシルホスフィンをリガンドとしてPd触媒を用いたカルボニレーション反応を行った。現在、詳細な生成物の構造決定を行っている。今後は7員環の構築を行いSarcodoninの全合成を行う予定である。また、この研究の過程でPd触媒によるカルボニレーション反応を種々検討した。その結果α、β-不飽和γ-ラクトンを効率的に合成する方法を見出し、台湾産の植物Litsea akoensisから単離された抗腫瘍物質Akolactone Aの両鏡像体の合成を行い、絶対構造を決定し報告した。また、バンレイシ科アセトゲニンのα、β-不飽和γ-ラクトン部分の合成にも応用を展開している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Makabe, H., Okajima, M.Konno, H., Kamo, T., Hirota, M.: "Efficient Synthesis of Akolactone A via Pd-Catalyzed Carbonylation"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67. 2658-2660 (2003)

  • [文献書誌] Makabe, H., Miyawaki, A., Takahashi, R., Hattori, Y., Konno, H., Abe, M., Miyoshi, H.: "Synthesis of two possible diastereomers of reticulatain-1"Tetrahedron Lett.. 45. 973-977 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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