我々は、植物や酵母由来のスフィンゴ脂質の食品機能性を検討する目的で、細胞を用いた実験で植物性スフィンゴ脂質が大腸ガン細胞死を誘導することを見出した(投稿中)。今回、植物及び酵母由来セレブロシドの生体内での大腸ガン発症予防効果をマウスの大腸腺腫(ACF)誘発系を用いて検証した。 ACFはDMHをBALB/c雄マウスの腹腔内へ7日おきに投与して誘発し、試験食は植物(トウモロコシ)及び酵母から分離精製したセレブロシドを、AIN-76A配合飼料に0.1-0.5%添加して作製した。各群間の摂食量は統一した。ACF数は、大腸を摘出・洗浄・固定後、メチレンブルー染色し、顕微鏡下で計測した。その結果、10週間試験飼育後、ACF数がセレブロシド投与群では無投与群と比較して40〜60%に減少し、減少率は投与量に依存した。また、糞中のアルカリ安定脂質をTLC分析に供した結果、セレブロシドの分解が確認された。以上の結果より、食餌性の植物及び酵母由来セレブロシドによる大腸ガン発症予防効果が示唆された。現在この機構について網羅的に解析中であり次年度に報告する予定である.
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