研究概要 |
本研究では,褐藻由来アルギン酸オリゴ糖が免疫応答のTh1/Th2バランスをTh1型にシフトさせる機能を持つことを利用した新規抗アレルギー食品の確立とその作用機構および経口免疫寛容誘導に対する影響を評価することによる食品としての安全性を実証することを目的としている.本年度は,アルギン酸オリゴ糖がどの様に細胞に作用してTh1応答を増強しているのか,および実際にin vivoでの活性を検討した.さらに,アルギン酸オリゴ糖によって産生が誘導されるIL-12が経口免疫寛容の誘導に与える影響についても解析した. 1)磁気ビーズにより分画したリンパ節細胞にアルギン酸オリゴ糖を作用させた結果,非T非B細胞が標的細胞であることを明らかにした.樹状細胞あるいはマクロファージであると考えられる. 2)細菌成分を認識して樹状細胞にマクロファージIL-12産生を誘導する一方で,毒素性ショック症状の誘発にも関与していると考えられる細胞膜上の受容体であるTLR-4を欠損するC3H/HeJマウスを用いた実験により,アルギン酸オリゴ糖の認識にTLR-4が必須ではないことを示した. 3)BALB/cマウスをアレルゲンタンパク質で免疫することによってIgE産生を誘導した.同マウスにアルギン酸オリゴ糖を投与したところ,投与しなかった群と比較してIgE産生が有意に抑制された.また,Th1/Th2バランスもTh1優位にシフトした. 4)アルギン酸オリゴ糖により産生が誘導されるIL-12をアレルゲンタンパク質とともにBALB/cマウスに経口投与し,その後の非経口的な抗原投与に対する抗体産生応答を測定した.その結果,IL-12の経口投与により経口免疫寛容の誘導が阻害されることを示した. (以上1-3の成果をまとめた論文を発表)
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