研究概要 |
本課題で実験魚としての確立を目指す海産魚マングローブ・キリフィッシュを卵発生より飼育し,形態学的な発育を詳細に記載した(雑誌論文1)。 次に,摂餌・遊泳および攻撃などの行動の発達過程を観察するために,麻酔条件と観察条件を検討した。異なる形状の水槽を用いた観察結果から,攻撃行動の指標化と数値化を行った。飼育水槽の形状は仔魚および稚魚の行動に影響を与えないことが分かった。攻撃の指標には,誇示および追尾が定量可能であることが分かり,次年度は行動の個体発生過程を観察する予定である。 成長の異なるクローン系列を確立し,クローン株による遣伝的要因の違いをさらに明らかにするため,アイソザイム,AFLP,マイクロサテライト法などによるタンパク発現・遺伝子発現の違いを明らかにするための予備研究にも着手した。成長の異なるクローン系列間では摂餌行動に違いのあることが明らかになった(European Aquaculture Societyで発表)。さらに,これらのクローン系列の代謝活性機能の変化を明らかにするため,仔稚魚の代謝・消化機能に関与する酵素(エステラーゼ,グルコシダーゼ,ガラクトシダーゼ,トリプシン)の個体レベルの活性を,蛍光基質を用いて測定する技法を開発・確立した。これらの酵素活性を個体レベルで定量化し,成長に伴う発達過程を明らかにした。同時に,成熟に関わるステロイドホルモンの動態も明らかにした(European Aquaculture Society および日本動物学会で発表)。
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