研究課題
有用甲殻類であるタイワンガザミとアミメノコギリガザミ自然集団の遺伝的多様性、遺伝的特性、放流標識用遺伝マーカーの検索および集団構造を明らかにした。さらに、ノコギリガザミ類について第一ゾエア幼生の種判別手法を確立、タイワンガザミ稚ガニの胃内容物の検討も加えた。タイワンガザミ集団標本群は、日本本州、四国、九州、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ国、インドネシア、バーレーン、モザンビークとオーストラリアの14集団、合計675個体を用いた。その結果、合計122ののハプロタイプに分けられた。遺伝的多様性を示すハプロタイプ多様度と塩基多様度においても沖縄集団の遺伝的多様性は極端に低いことが明らかとなった。AMOVAによって沖縄以外では集団間に遺伝的差異が認められ、日本列島の集団と琉球列島以南ではほとんどのハプロタイプが共有されず遺伝的分化が顕著であった。この差を形態学的に明らかにするために計数・計測形質31箇所を主成分分析、等分散検定などを沖縄、鹿児島、静岡の集団で調べた結果、同一の母集団ではないことおよび9変数では分散が異なっていた。人工種苗の放流効果を追跡する場合には数多く検出された頻度の低いハプロタイプを用いることができると考えた。一方、アミメノコギリガザミ集団標本群は、日本本州、四国、沖縄、台湾、モザンビーク、マダガスカル、オーストラリアの合計260個体を用いた。その結果、合計27のハプロタイプに分けられた。ハプロタイプ数は、アフリカの2地点では他集団に比べて少なかった。ハプロタイプ多様度と塩基多様度からアフリカ集団は遺伝的多様性が低かった。AMOVAによって国内外で遺伝的差異が見出された。ノコギリガザミ類ゾエア幼生の種判別手法は、核とmtDNAマーカーを用いて確立し、種間雑種を初めて見つけた。DGGE分析に稚ガニ胃内容物の検討では、18SおよびCO1領域を種間で分離するための電気泳動条件設定が難しく、今後も引き続き検討する。資源管理の単位である系群の識別と自然集団の遺伝的多様性を明らかにした情報は今後さらなる研究の発展につながると考える。
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すべて 雑誌論文 (6件)
Tropical Biodiversity Okinawa 2005 Asia-Pacific studies on Coral reefs and islands The 21^<st> Centry COE Program Univ.Ryukyus
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