研究概要 |
本研究は、原料の供給枠組みが大きく再編されるなかで展開するコメ加工産業の原料米調達構造について、実態調査をもとにした実証分析により明らかにするものである。 本年度は、まず基礎的な統計資料の収集・整理および清酒、味噌、米菓産業を対象とした主産地各県における実態調査、更に次年度から調査実施予定である加工米飯、包装モチ、米穀粉業者、各1社を対象どした予備調査を行った。また、供給構造の実証分析として、主に新潟県を中心に、酒米産地(吉川町・小国町・越路町)、モチ米産地(白根市・笹神村)における農家段階の生産構造並びに産地JA、全農にいがた、特定米穀取り扱い卸業者、精米業者における聞き取り調査を実施した。 制度的には、現在の原料米調達の枠組みは、特にMA米の供給政策により規定される面が大きいと考えられるが、それは加工用米数量枠の限定により政策的に造られた需要という側面を持ちつつ、既に7年を経過して一定の定着を見ている段階といえる。各業界においては、輸入米の使用実績の積み上げのなかで、技術的あるいはマーケット的な受け入れ体制が一定の水準まで構築されてきているが、反面、JAS法下における原料米の国産表示義務化を契機とした国産原料へのニーズが、消費段階で広がる外国産農産物の安全性に対する全般的不安感とあいまって形成されている面もでている。これら国産原料米ニーズは、多くの場合、付加価値製品および高価格帯商品群として差別化されるための原料として各業界・企業のマーケティング上位置づけられており、今年度調査した清酒,味噌・米菓いずれの業界においても、そのような製品差別化の進展とそれに対応した契約栽培や品種・産地あるいは栽培方法等を限定した形態での原料調達方式の展開が見られた。
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