1.最終年度にあたり、改めて問題の枠組みを整理するとともに必要な追加調査を行った。 1.結論 新潟県では、コメ改革路線の影響を受け、各産地において販売競争が激化している。また、その加工米市場への影響については、一面では、契約栽培等により安定的な販路構築を志向する動きや実儒者への対応やコシヒカリ以外への作付け誘導のための「品揃え枠」等により、新規の販売契約やつながりなどの取り組みが進む側面を有するが、取引先となる各加工業界によっては、かなりの温度差が生じていることが示された。特に特徴的なのは、米菓ならびにもち業界を中心とした売込みあるいは制度的な数量枠の実質的重点配分と、酒造業界との取り組みが進展しないことである。 他方、加工サイドについては、県内酒造業界では、輸入原料米への拒否感が強いが、その要因として、従業員が地元の農家出身者で占められており、杜氏を含めた従業員側に酒造技術の蓄積があるために彼らの意向を無視した原料購入が困難という特有の性格と併せ、国内産志向(県内産志向)が強固に形成されている。また、製品販売戦略としても輸入米使用は製品単価低下につながるならば得策ではなく、むしろ優良地場原料米による付加価値化路線が採用される傾向にある。そのため、県業界をあげて優良原料米確保への取り組みが進んでおり、越淡麗という新品種の開発・普及が試みられているが、その取り組みは制度的な支援体制あるいはJA(産地側)の支援が積極的とならないなかで加工サイド主導および加工メーカーによる産地の直接捕捉という形態で進みつつある。他方、米菓業界では、JAサイドからもち品種を中心とした数量枠等の設定受けて、購入量を拡大しつつあるが、各業者段階では、優良もち米ならではの製品づくりや付加価値化が進んでいないことが示された。 2.研究成果については、酒造業者を対象とした2回の講演(新潟清酒研究会第33回通常総会記念講演2005.5および平成17年度新潟県酒造技術講習会2005.8)および米菓業者等の加工業者を対象とした1回の講演(新潟大学地域共同研究センター第17回食品・バイオセミナー)にて現状分析の結果を報告し意見交換を行った。
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