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2004 年度 実績報告書

タンザニア産コーヒーのフードシステムと生産農村の持続的発展

研究課題

研究課題/領域番号 15780147
研究機関京都大学

研究代表者

辻村 英之  京都大学, 農学研究科, 助教授 (50303251)

キーワードコーヒー / タンザニア / フェア・トレード / フードシステム / 持続的発展 / 先物価格 / 協同組合 / 商品作物
研究概要

コーヒーのフードシステムの不公正さ、特にニューヨークのコーヒー取引所で決まる先物価格を基準とする価格形成制度の下では、特に2001〜02年に深刻化した「コーヒー危機」(国際価格(ニューヨーク先物価格)の史上最安値)が、そのまま生産者価格の史上最安値につながってしまう。
実際、タンザニア農村において、小農民のコーヒー販売所得が激減している。さらなる生活水準の悪化に耐え切れなくなった小農民は、出稼ぎ(都市での就職)の可能性を追求するとともに、コーヒー老木を伐採した跡地に、じゃがいも、トマト、トウモロコシなどの新たな商品作物を植え付けている。
このようにコーヒーの生産量は減少しているが、すべての小農民から見捨てられたわけではない。高価な農薬の投入はほとんど期待できないが、無農薬栽培を可能とする新しい品種の苗木が、少しずつ畑に植え付けられている。
さらには、遠いニューヨークで決まる先物価格に従属するのでなく、小農民の側から何とか価格を引き上げようとする動きもある。これまでのように、民間業者や協同組合連合会によって、「上から」生産者価格を押し付けられるのではなく、連合会を通さずに単位協同組合が、あるいは新たに設立した生産者組織が、直接的に競売所へ販売する方法を選択し始めた。その結果、民間や連合会より100〜200Tshs高い生産者価格を実現している。その連合会(KNCU)への出荷を停止した32単協は、新しい連合会を組織する勢いにあり、積極的な事業改善の努力なしには、KNCUの存続も危ぶまれる。
消費国NGOが主導するフェア・トレード運動が、この32単協の挑戦のような、自律的な「下から」の価格引き上げの努力に結び付いて初めて、タンザニア農村の持続的発展が導かれるのである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] フードシステムの考え方:コーヒーの価格・品質問題とフェア・トレード2005

    • 著者名/発表者名
      辻村 英之
    • 雑誌名

      龍谷大学経営学会 学会通信 第38号

      ページ: 5-22

  • [雑誌論文] キリマンジャロ・コーヒーのフェアトレード-フェアトレード・コーヒーのフードシステム-2004

    • 著者名/発表者名
      辻村 英之
    • 雑誌名

      農業と経済 70巻4号

      ページ: 51-59

  • [雑誌論文] 「コーヒー危機」とフードシステム2004

    • 著者名/発表者名
      辻村 英之
    • 雑誌名

      論評 No.142

      ページ: 10-11

  • [雑誌論文] キリマンジャロコーヒー生産地の最新事情2004

    • 著者名/発表者名
      辻村 英之
    • 雑誌名

      帝飲食料新聞 4月7日

      ページ: 28

  • [図書] コーヒーと南北問題-「キリマンジャロ」のフードシステム-2004

    • 著者名/発表者名
      辻村 英之
    • 総ページ数
      269
    • 出版者
      日本経済評論社

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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