1.地域における新たな事業継承方式の展開状況の把握 全国の農業改良普及センターへアンケート調査を実施し、家族経営の事業を家族以外の者へ継承させるという新しい継承方式の実施状況を把握した。技術・信用の引き継ぎ期間を設けた上で農地・施設等を継承した事例として、27事例が確認された。事例のある地域・経営部門は様々である。また、継承者は20〜30歳代の若い世代の非農家出身者が多い。一方、技術の引継ぎ開始時における経営者の年齢は60歳代など高齢者が多く、引継ぎ期間は5年以内に設定されている。これまでに13事例が引継ぎ期間を終えて独立している。 また、農業改良普及センターでは、新規参入に関して、研修先の紹介等の支援は8割近く(77%)で行われているが、既存の経営の事業を新規参入者に引き継ぐという視点からの取り組みはほとんど行われていない(3.3%)ことが明らかになった。 2.家族以外への継承過程におけるマネジメントの解明 1で把握された事例に対して、継承過程で実施されたマネジメントに関する実態調査を行った。その結果、家族以外への継承では、通常の家族(子供)への継承とは異なるマネジメントが必要になることが明らかになった。具体的には、(1)不特定多数の中から継承者を探し出す、(2)両者の信頼関係を構築するために事前に契約などを行う、(3)短期間(5年以内)で継承者に技術を習得させる、(4)継承(引退後)の生活資金を、継承者への農地等の売却資金、リース料、技術指導料等により確保する、等である。
|