研究概要 |
本研究課題「地下水・地盤統計ハイブリッド流動モデルでの地下ダムサイトの高精度復元手法の開発」では,観測データの処理ならびに計算能力の高い設備による2・3次元高精度地下水流動復元解析が不可欠であるため,当年度設備備品として「アロシステム製カスタムPC」を購入し,そこに自家製の「観測データ・解析同時処理システム」を当該研究者自らが構築し,これらの数値解析を行った. 解析領域の有限要素網作成には,平成11〜12年度奨励研究(A)課題番号12760163によって構築した分布推定システムを改良し,2・3次元要素・節点座標データの作成を行えるようにした。さらに,その新しい2・3次元の地下水・地盤統計ハイブリッドモデルの確立を行い,それを上記設備備品にシステムとして追加構築した. その再,新たに上記ハイブリッドモデルにある地下水モデル成分と地盤統計モデル成分を分割しつっ,観測値からそれぞれのモデルパラメータを同定しなければならないという難関が生じたが,拡張Kalmanフィルタと有限要素法を組み合わせることによって,成分の分割とパラメータ同定が同時にできるようになり,飛躍的にシステムの性能が高くなった. このハイブリッドモデルの確立は,地盤統計モデルだけでは課題であり困難な問題であった時間変動と空間変動を同時に捉えることを,克服できるものである.基本的な成分を物理モデルである地下水モデルで考えているため,その時空間変動量にモデル誤差成分と考える量を地盤統計モデルで表現して調整してやることで,観測点付近の挙動を中心に全域が実挙動に近づくようにできるとともに,モデル誤差の除去に対しても同時に寄与することができた, 現在,水文学関連の学会や研究集会でもモデル誤差の把握と解消に関して議論する機運が世界レベルで高まってきており,そうした問題の解決への一手法として,本手法の適用性と応用性が注目されている.
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