研究概要 |
1.「氾濫域流況詳細解析モデル」の構築 氾濫域を2次元平面流モデル、水路を1次元不定流モデルで取り扱い、両者を統合化した「氾濫域流況詳細解析モデル」を構築し、計算コードを作成した。本モデルでは,道路または水路で囲まれた領域を一つのブロックとし、氾濫域の流況をブロック毎に計算することにより、水路と同様に解析領域内の道路の影響も容易に取り込むことができる。これにより、水路や道路が複雑に入り組んでいる低平農地においても詳細なモデル化が可能になった。また、氾濫域の空間分布を容易に把握できるよう、GISとのリンクが容易なシステムとした。 2.モデルの検証 「氾濫域流況詳細解析モデル」の動作を、八代海の高潮による沿岸農地への氾濫解析において検証した。解析対象の高潮では、多くの海水が八代海に流れ込む小河川の堤防から越水したのが確認されている。本モデルによる計算でもこの現象を良く再現することができた。 以上1、2の成果については、第17回数値流体力学シンポジウムで発表するとともに、モデルに改良を加え、現在、論文集に投稿中である。 3.現地データの収集 熊本県天草郡の荒木浜地区をモデル地区に設定し、農地と排水路網の状況について現地調査を行った。地区内の排水路と道路の路線形状をGPSにより計測し、主要なポイントについて、水路の断面形状など解析に必要なデータを収集した。
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