研究概要 |
平成15年度は,品質予測モデル構築に必要な基礎データを得る目的で,品質劣化が著しく流通過程での鮮度管理対策が重視されるブロッコリー5品種を対象として,1)種々の酸素濃度下での貯蔵中における花蕾色,ビタミンC含量の変化および呼吸速度の測定,2)貯蔵湿度が花蕾色変化に及ぼす影響,3)収穫時期(6月収穫と11月収穫)が貯蔵性に及ぼす影響について調査した。花蕾色は色差計により評価し,ビタミンCはヒドラジン比色法によって測定した。呼吸速度は,市販のガスクロマトグラフィーをベースとした自動ガス代謝速度計測装置によって測定した。なお,貯蔵温度はすべて10℃とした。その結果,花蕾色およびビタミンC含量は低酸素環境に貯蔵すると保持されたが,それらの保持程度は品種間で差が認められた。種々の酸素濃度下における呼吸速度の測定値をMichaelis-Menten型の呼吸モデルに当てはめ,品種間差について解析したところ,酸素濃度に対する呼吸反応の挙動が品種によって異なることが明らかとなった。湿度が花蕾色変化に及ぼす影響についても品種間で差が認められ,湿度100%と90%での貯蔵期間中における花蕾色変化に差が認められた品種と,そうでない品種があった。収穫時期の違いによっても,花蕾色変化に差が認められ,11月収穫のブロッコリーが緑色をよく維持する傾向が認められた。以上の結果より,品質予測モデル構築においては品種間差や作型を十分考慮に入れた基礎データの収集と定式化が必要であることが分かった。
|