作物、栽培様式、機械・装置により変化する作業環境並びに作業者をCADデータ化し、作業負担の小さい作業環境を効率的にシミュレートする手法を開発し、従来の作業姿勢解析法では困難であったユーザビリティに重点をおいた総合的な作業環境の評価を行うことを目的とする。そのため、機械・装置だけではなく、新たに生育ステージで変化する作物や栽培様式のCADデータの蓄積、構造化を図ると同時に、近年人間工学設計に導入されてきたコンピュータ・マネキンによる解析手法を利用し、作業者のCADデータ化を行う。最終的に、ユーザビリティの高い作業環境のモデルを提案し、園芸施設内での栽培管理に適用し実証する。 2003年度は、日本人の成人及び高齢者の人体計測データベースを内蔵したコンピュータ・マネキンシステムを導入し、高設栽培ベッドと作業者のCADデータのマッチングを試みた。その結果、以下の知見が得られた。 1.導入したオージス総研製コンピュータ・マネキン「quete」は、日本人の成人・高齢者の人体計測データベースに基づいたマネキンモデルが生成でき、本システムでの評価で利用できることが明らかになった。 2.成人と高齢者の男性マネキンモデルを生成し、高さ1mの高設栽培ベッドでの作業姿勢を評価したところ、高齢者で上腕および前腕に無理が生じていることが視覚的に判ると同時に、姿勢角が数値として得られ、定量的な評価が行えた。 3.従来の作業姿勢解析法等で指摘されているように、高設栽培ベッドの立ち姿勢は中腰姿勢に比べ大腿部・腹部への負担が小さく、マネキンモデルの形態特性から導かれる力学的負荷推定により数値化することができた。
|