研究課題
昨年度作成したマルチプレックスPCRでは、5反応で17菌種の検出が可能であったが、実際のルーメン内容物由来DNAを用いて行った検出では、感度がシンプレックスPCRよりも劣ったため、本年度はこれと同等の感度を持たせること、ならびに精度向上を目的に、再度条件検討を行った。R.productus、C.proteoclasticumの2菌種を検出するプライマーが他の菌種でも反応することが見出されたため、新たにプライマーを設計し直した。各標的菌種ごとに温度勾配PCRにより至適アニール温度を決定し、リアルタイムPCRによる増幅曲線から至適マグネシウム濃度を決定した。増幅サイズとの上記データをもとにマルチプレックスPCRでの検出菌種の組み合わせを決定した。その結果、6反応で17菌種の検出が可能だった。マルチプレックスPCRでの検出は反応液中に標的菌種のDNAが150pg含まれていれば可能であり、シンプレックスPCRと同様の感度だった。増幅産物の配列確認でも、目的とする菌種のみを増幅していることを確認した。本方法を用い、濃厚飼料給与0・3・28日目、チモシー・飼料イネの給与、暑熱環境下(20℃・28℃・33℃)飼育、プロトゾアの有無のルーメン内容物由DNAを用いて検出の差を求めたところ、各サンプル間でシンプレックスでの検出と同様の差を認めた。暑熱環境下飼育のものは定量的PCR法により繊維分解菌3種の定量を行い、環境温度の上昇に応じて繊維分解菌数が低下することが明らかになった。
すべて 2005
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 69
ページ: 499-506