スライス標本を用いたカルシウムイメージング実験では、前年度に引き続き条件設定行っている。蛍光指示薬としてIndo-1を用いていたが、データが一定しないため、Fluo-4の使用も検討した。しかしながら、細胞内カルシウムイオンの濃度上昇は標本により不均一であった。このような不安定な結果の原因を探るため、リアルタイムRT-PCR法による低酸素、高二酸化酸素負荷による各種チャネルmRNA量の増減等の検索も検討中である。 低酸素および高二酸化炭素受容分子、信号伝達関連分子の探索では、数種のチャネル分子の頚動脈小体および気道内での局在を確かめた。免疫組織化学、in situ hybridizationのデータに加えて、頚動脈小体および中枢化学受容野における各種チャネルのmRNA発現をRT-PCR法で検索した。その結果、頚動脈小体では酸素受容チャネルであるTASK-1、TASK-3およびTREK-1、二酸化炭素受容チャネルであるKir4.1の発現が認められ、免疫組織化学の結果と良く一致した。また、中枢化学受容野ではこれらに加えてKir1.1、Kir2.3、Kir5.1等のH^+感受性チャネルが発現していることがわかった。また、細胞内pHを抑制するNa^+-K^+ exchanger type 3、細胞外pH上昇に感受性を有するVR1、VRL1は頚動脈小体での発現が不明瞭であったが気道内の神経終末での局在が明らかとなり、これらは2編の論文として公表した。
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